認知症の概略

 今日は認知症の概略についてお話ししたいと思います。
皆さん、認知症と言ったらどのような疾患が思い浮かぶでしょうか?
アルツハイマー病だけでしょうか?
実は認知症といっても様々な疾患があります。ひとりに、2つ、あるいは3つ以上の疾患が合併し、合わさった認知症となっていることもあります。
アルツハイマー病の他に、血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭葉変性症、正常圧水頭症、慢性硬膜下血腫、大脳基底核変性症、進行性核上麻痺、意味性認知症、進行性非流暢性失語症、嗜銀顆粒球性認知症などがあります。その他、脳腫瘍、甲状腺機能低下症、梅毒、ビタミンB1、B12、葉酸欠乏によっても認知症を合併することがあります。

認知症の患者さんが来院されたら、これらの疾患を鑑別診断しなければなりません。正直大変です。
認知症を専門としていない医師は、おそらく聞いたこともない疾患があるかもしれません。
ですから、レビー小体型認知症と診断して他院を紹介しても、これはレビー小体型認知症ではないと勝手に本人や家族に言い放つ医者もでてきます。その医者は、どれくらいレビー小体型認知症についてご存じなのでしょうか?心配になることがあります。

認知症の診断は、問診と改訂版長谷川式簡易知能評価スケールやMMSEなどの小テスト、神経学的検査、画像診断などを行い、総合的に判断します。
これらの検査内容に関しては、後々少しずつ解説していきたいと思っています。

今日は問診について少しだけ解説したいと思います。なぜ少しだけなのか?それは問診は奥が深く、とても1回だけでは解説できないからです。認知症だけには限りませんが、疾患のあたりを付けるという意味では最も重要だと思います。

まず、主訴、すなわち受診理由を訊きます。本人が何か変だと思って受診したか、家族に連れて来られたのかも訊きます。いつごろ発症したのか、今日までの主だったエピソード(例えば、道に迷って帰ってこられなくなった。万引きするようになったなど)、記憶障害が最近の記憶なのか昔の記憶なのか、精神・行動異常の有無(物盗られ、嫉妬妄想、暴言・暴力、昼夜逆転、夜間に大声を出さないか、幻視・幻聴がないか)、現在の生活状況(ひとり暮らしか、炊事、買い物、掃除、洗濯、金銭管理はどうしているのか、テレビのリモコンや電子レンジは使えるのか)なども訊きます。

家族歴も必ず訊きます。何人兄弟か、両親や兄弟で認知症は居ないか確認します。とくに若年発症例では重要です。家族性のアルツハイマー型認知症や前頭側頭型認知症も多いからです。

既往歴は大事です。例えば胃全摘の手術を受けている方はビタミンB12を摂取できないので、ビタミンB12欠乏性認知症となりえます。脳卒中、貧血、慢性閉塞性肺疾患、心疾患の既往があれば、脳虚血の原因となります。肝不全や腎不全で代謝性の脳症も起こしえます。

加えて、現在の治療歴、内服しているくすりも訊きます。心療内科に通院している患者さんは要注意です。向精神薬や睡眠薬が山のように処方されており、これではボーとしてても仕方ないと思える患者さんもたまに居ます。

うつ病も認知症との鑑別で重要ですが、認知症の症状のひとつとしてうつ気分もあり、なかなか難しいところです。症状の変動(すなわち良くなったり、悪くなったりを繰り返す。これは時間単位だったり、数週間単位だったりします)はレビー小体型認知症で有名です。

これでは足りませんが、とりあえず認知症の初診における問診がいかに重要か、お分かりいただけたのではないでしょうか?そして、その大変さも。問診を2,3分で済ます医者は、認知症のことを分かっていない医者と思ってよいでしょう。違う医師にかかりなおす方が賢明だと思います。





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